4 広域的事業運営
現状と課題
多摩地区の水道事業においては、長年にわたる市町への事務委託が平成23年度末をもって完全解消しました。この事務委託解消の過程で新たに顕在化した課題等を解決していくため「多摩水道改革計画(2010-2014)」を策定し、経営改善に取り組んできました。また、平成22年度に奥多摩町の水道事業を統合し、施設整備等を進めています。
平成25年5月に都営水道にふさわしい広域水道としてのメリットを更に発揮できるよう、「多摩水道改革計画2013」を策定し、施設の再構築、災害対応力の強化、効率的業務運営の推進及び地域との更なる連携強化に取り組んでいます。
平成26年度の主な実施内容
(1)多摩地区水道の広域的事業運営
①多摩地区水道改革の着実な推進
計画 |
実績 |
- ・「多摩水道改革計画2013」を策定し、下記の事項に取り組む
- 災害対応力の強化
- 効率的な業務運営の推進
- 地域との更なる連携強化
- 都営水道にふさわしい施設の再構築
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- ・災害対応力の強化
市町職員、町内会や学生などの地域における多様な主体と連携し、応急給水訓練を実施
- ・効率的な業務運営の推進
当局と監理団体との各種連絡会を定期的に開催
- ・地域との更なる連携強化
下記「②市町との新たな連携」を参照
- ・都営水道にふさわしい施設の再構築
下記「③多摩地区における送配水施設の整備」を参照
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評価 |
- ・平成25年5月に策定した「多摩水道改革計画2013」に基づき、多摩丘陵幹線の整備、地域と連携した応急給水訓練の実施、監理団体との各種連絡会の実施、多摩水道連絡会の開催等の取組を着実に推進し、給水安定性の更なる向上と多摩地区の広域水道としてのメリットをさらに発揮できるよう努めています。
- ※監理団体・・・
- 東京都が出資又は出えんを行っている団体及び継続的な財政支出、人的支援等を行っている団体のうち、全庁的に指導監督を行う必要があるもの。
水道局が所管する監理団体は、平成27年3月現在、東京水道サービス株式会社と株式会社PUCの2団体。
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②市町との新たな連携
計画 |
実績 |
- ・多摩地区都営水道26市町と水道局を構成員とする「多摩水道連絡会」を定期的に開催し、市町とのより強固な連携・協力体制を構築
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- ・「多摩水道連絡会(総会)」を平成26年5月及び平成27年1月に計2回開催し、震災対策や広報などの取組を発表
- ・さらに、各地域の特性を踏まえた実務的な会議を行うため、地域別に4ブロックに区分し、平成26年5月及び平成26年11月に各ブロックで2回開催
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評価 |
- ・定期的に多摩水道連絡会を開催し、市町との情報共有・意見交換を積極的に行いました。
- ・応急給水活動など、緊急時における市町との強固な連携・協力体制の構築とともに、局事業の円滑な推進に努めています。
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③多摩地区における送配水施設の整備
計画 |
実績 |
- ・送水管ネットワークの強化
(多摩丘陵幹線及び多摩南北幹線(仮称)の整備)
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- ・多摩丘陵幹線:拝島給水所から鑓水小山給水所まで(支線を含む)を区間とする二次整備区間の整備を実施(平成26年度全線完成・通水開始)
- ・多摩南北幹線(仮称):平成30年度完成に向け、東村山浄水場から拝島給水所までの整備を実施
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- ・多摩北部給水所(仮称):平成32年度完成に向け、設計等を実施
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- ・配水池の整備
(幸町浄水所、柴崎浄水所、深大寺浄水所等)
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- ・幸町浄水所:平成30年度完成に向け、設計等を実施
- ・柴崎浄水所:平成32年度完成に向け、整備を実施
- ・深大寺浄水所:平成34年度完成に向け、整備を実施
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評価 |
- ・多摩丘陵幹線及び多摩南北幹線(仮称)の整備や、老朽化が進行し、配水池容量が不足している幸町浄水所などの設計等の実施など、送水管ネットワークの強化や配水池の整備を着実に進めました。
- ・こうした取組によって、多摩地区における給水の安定性を向上させています。
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(2)国内水道事業者との連携
①国内水道事業者との連携
○研修、視察の受入れ
計画 |
実績 |
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- ・平成26年度は、3,015名に対して研修施設を貸出し、218名の視察を受入れ
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評価 |
- ・国内水道事業者等を対象とした研修への協力や視察の受入れは、近年、同規模で順調に推移しています。
- ・今後もこの取組を継続することで、国内水道界へ貢献していきます。
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○他水道事業体と連携した広報
計画 |
実績 |
- ・首都圏の7水道事業体(茨城県、埼玉県、千葉県、神奈川県、横浜市、川崎市及びさいたま市)と連携した広報の実施
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- ・生活の中でいつでも使うことができる水道水の大切さについてPRするための共同ポスター及びチラシを作成
ポスター:18,920枚
チ ラ シ :29,700枚
- ・ポスターのうち12,430枚は、首都圏沿線(JR東日本、首都圏新都市鉄道、小田急電鉄、東京急行電鉄、京成電鉄、京浜急行電鉄、東武鉄道)の車両内窓上広告として1か月間掲出
- ・チラシは、イベント会場や営業所などで積極的に配布
- ・各事業体の広報誌やウェブサイトなどで、ポスターデザインを2次活用し、お客さまへ周知浸透
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評価 |
- ・各事業体において、ポスターについてのアンケートを実施しました。約5,000名の回答のうち約35%の方がポスターを見ており、そのうち約76%の方から水道水が安全だと感じたという回答を頂きました。
- ・ポスターデザインについては、約80%の方が好感を持ったと回答、約65%の方から水道水を飲んでみようと思ったと回答を頂きました。
- ・この取組によって、水道事業体共通の課題である、水道水の大切さのPRを効果的に行うことができました。
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○災害対策
計画 |
実績 |
【19大都市水道局災害相互応援に関する覚書】
- ・覚書幹事都市として、第三順位応援幹事都市を新たに提案
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【茨城県】 |
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- ・「東京都と茨城県との中継水道事業体としての活動に関する覚書」の締結
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- ・上記の実効性を高めることを目的とした、情報連絡訓練の実施
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【仙台市】 |
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- ・東京都総合防災訓練に合わせて、応急給水等の合同訓練及び応援要請等情報連絡訓練の実施
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【横浜市】
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【連絡管】
- ・町田、登戸及び朝霞の各連絡管において、各所管部署で川崎市及び埼玉県と情報連絡、現地操作訓練等の実施
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- ・町田:平成26年10月16日に実施
- ・登戸:平成26年9月4日に実施
- ・朝霞:平成26年10月27日に実施
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評価 |
- ・19大都市水道局災害相互応援に関する覚書では、長年の懸案であった第三順位応援幹事都市を他都市と調整し、改定に結び付けました。
- ・茨城県とは、東日本大震災の教訓から、中継水道事業体に関する覚書を全国で初めて締結し、情報連絡も行いました。
- ・連絡管相互融通訓練や仙台市との合同訓練のほか、横浜市や仙台市と相互応援のための情報交換会を実施することにより、他水道事業体との連携による危機対応能力の一層の向上を図りました。
- ※第三順位応援幹事都市・・・
- 応援幹事都市は、災害時において、被災した大都市の状況把握、応援要請に関する連絡調整等の役割を担う都市で、これまで各大都市に第一・第二順位の応援幹事都市が設置されていたが、南海トラフ巨大地震発生時に、第一・第二順位の応援幹事都市が共に被災する可能性があるため、第三順位応援幹事都市を設定。
- ※中継水道事業体・・・
- 遠方からの応援隊の移動に対し、車両の待機場所や応援隊員の休憩場所等を提供するとともに、広域災害等で被災地の情報が明確でなく、応援先を確定できない場合に当面の目的地となる水道事業体のこと。
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