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水道事業紹介

STEP21 第4章 東京水道のめざす方向

 これからの水道の新たな施策を展開していくためには、水道を取り巻く環境がどのように変化し、水道にどのような影響を与えるかを見据えていく必要がある。

4−1 東京水道を取り巻く新しい社会潮流

 水道を取り巻く社会潮流には次のようなものがあげられる。

豊かさとゆとりを求める時代

 東京では、これまで生産の拡大や集積のメリットにより、高い経済成長を遂げてきた。しかし、こうした経済発展が必ずしも、生活の豊かさをもたらしていないという声が増えており、量的な拡大だけでなく、質的な充実も重視する社会への転換が求められている。
 また、個人の価値観も多様化し、全体的な統一性よりも個性や特色を大切にすることが望まれており、今後、こうした都民ニーズに柔軟に対応していく必要がある。

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豊かな暮らしを支える水道へ

 豊かでゆとりある暮らしを実現するためには、都民が安心して暮らせることが前提である。水道においては、渇水に備えたゆとりある水量の確保と質の向上など、更に高水準なものを求める動きが高まっていくと思われる。
 そのためには、安定した水源、ゆとりある施設能力を確保し、断減水のない安定した給水を行っていくことが必要となる。また、浄水器、ミネラルウォーターの売上げが伸びるなど、水質に対する関心が高まっていることから、安心して飲むことができる安全でおいしい水を供給していく必要がある。

危機管理が求められる時代

 平成7年1月の阪神・淡路大震災では、多数の住宅、土木構造物の崩壊や、地震後に発生した火災により多くの方々が亡くなられ、街全体が甚大な被害を受けた。
 東京においても、南関東地域での直下型地震の切迫性が指摘されており、食料、飲料水、風呂の水のため置き等地震に対する備えを行う家庭の増加や、地域における自主的な防災活動が活発化するなど、都民の中に広く危機管理の意識が浸透してきた。
 また、平成8年夏には病原性大腸菌O-157による集団食中毒が発生し、衛生管理について、国民の関心が高まった。
 このような人々の生命を脅かすような災害、事故は、予測が困難なものである。このため、被害の未然防止や軽減を図るための危機管理能力の向上が問われている。

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生命を守る水道へ

 阪神・淡路大震災では水道も大きな被害を受け、広い範囲で断水となり、飲料水の確保や消火活動に大きな支障を来した。
 こうしたことから、地震に強い水道施設整備、震災後の早期の復旧・飲料水の確保といった水道事業体の震災対策への期待が一層大きくなっている。
 また、平成8年には他都市で病原性微生物クリプトスポリジウムによる水道水の汚染が発生した。「水道水は常に安全である」という絶対的要件を守る水道であるためには、きめ細かな水質管理や監視体制の一層の強化が求められている。

情報が重視される時代

 近年、人、物、情報などの交流がグローバル化している。特に、情報のグローバル化が進んでいる背景には、通信網の整備による情報のネットワーク化がある。これにより、世界の様々な情報が入手しやすくなっており、ビジネス面で様々に使われている。
 行政でもインターネットなどを活用して、施策に関する情報を広く提供し、意見を求めることも可能になってきており、新しい行政の形が生まれつつある。
 日々の生活においても、ネットワークの利用が増えており、いろいろな人々とのコミニュケーションも可能となってきている。このように、あらゆる面において、情報が重視される時代となっている。
 さらに、今後は光ファイバー通信網等の整備により、情報の高速大量伝達の時代を迎え、音声、画像、文字、図形などを同時に扱うマルチメディア通信に移行することが予想されている。

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国際化、情報化にふさわしい水道へ

 水道においても、世界保健機関(WHO)のガイドラインやアメリカ合衆国環境保護庁(USEPA)の安全飲料水法に基づく水質規制の動向が、日本の水質基準の改定にも大きな影響を与えるなど、新たな水道技術についての国際的な情報交換が重要となっている。
 情報処理技術や通信技術の発展を背景として、水道施設についても、より高度な監視制御システムを構築し、水運用や運転管理の効率化を図ることが求められている。また、新しい検針システムの導入など高度情報化時代にふさわしい水道サービスを調査・研究していく必要がある。
 さらに、外国系企業の進出等により、水道を使用する外国人も増加しており、国際都市として発展を続けていくためにも、外国人にもわかりやすく親しまれる水道サービスを行っていく必要がある。

高齢化・少子化の進展と安定成長の時代

 東京の人口は、昭和63年の1,189万人をピークに減少傾向で推移しており、平成7年の国勢調査では1,177万人となっている。
 東京の将来の人口は、平成27(2015)年で1,140万人程度に、65才以上の高齢者の占める割合は約4分の1になると予測されており、超高齢社会を迎えることになる。また、都市の活力を担う生産年齢人口は少子化によって減少に転じていく。
 東京の経済は、現在、いわゆるバブル崩壊後の不況からの回復期にあり、今後は自律的な景気回復軌道に乗り緩やかな経済成長で推移し、21世紀初頭には2%台後半の安定成長へ向かうものと見込まれている。

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次世代に継承できる水道へ

 高齢化・少子化、経済の低成長やこれまで東京では見られなかった人口の減少等により、水道需要はかつての急激な増加から緩やかな増加に転じるものと予想される。また、少子化の進行や高齢社会に備え、新たな視点から社会資本の整備を充実させる必要がある。そのため、水道においても、今までの需要対応の施設整備から、安定・安心のための施設整備への転換が求められている。
 東京の水道は様々な課題を抱えていることから、超高齢社会を迎える前に、更新・改造などの施設整備を進め、安心して使用することができる水道システムを構築し、次世代に継承する必要がある。

環境を大切にする時代

 地球温暖化、酸性雨、オゾン層の破壊といった地球規模での環境破壊が深刻化してきている。都市においても、ヒートアイランド現象、生活排水による河川の水質汚濁や廃棄物処分場の確保等の環境問題の解決が急がれている。
 都市がこれまで発展してきた過程においては、大量のエネルギー消費があった。地球環境の保全の観点からも省エネ化、化石燃料からの転換を目標とした未利用・新エネルギーの活用が求められている。
 これからの都市は、環境負荷をできる限り低減し、持続的な発展が可能な循環型の都市づくりが求められており、個人、企業、行政それぞれがその役割と責任を認識し、資源のリサイクルなど環境問題に取り組むことが必要となっている。

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環境にやさしい水道へ

 水道事業においても、エネルギー効率のよい水道システムの構築や雑用水利用の促進、浄水場の発生土の再利用など、資源の有効活用を行い、環境負荷をできる限り低減することが期待されている。
 また、水道使用者にも、「水を使う」ことは「水を汚す」ことの一因にもなることを意識した、環境に配慮した水の使い方を心がけることが求められるようになっている。

4−2 東京水道のあるべき姿

 東京水道は、これまで明らかにされたような様々な課題の解決を図るとともに、水道を取り巻く新しい社会潮流にも対応できる水道システムを構築していく必要がある。
 それには、将来の東京水道として、どのような姿が望ましいのかが、目指すべき目標として明らかにされなければならない。
 東京水道の100年の歩み、現状と課題、水道を取り巻く新しい社会潮流を踏まえて、東京水道の目指すべき目標を考えると、次の7つの「あるべき姿」が見えてくる。

つよい水道

1 渇水に強い水道
 渇水でも、給水制限に至ることなく、人々の生活や都市の活動に大きな影響を与えないよう、安定的に給水できる、渇水に強い水道

2 断減水のない水道
 水質事故や水道施設の事故が起こったときでも、断水したり、水の出が悪くなったりせず、すべての地域で常に安定した給水が確保できる、断減水のない水道

3 地震に強い水道
 大地震が発生しても、浄水場や給水所などは被害を受けず、また、送水管や配水管なども被害が少なく、速やかに復旧することができる、地震に強い水道

やさしい水道

4 安全でおいしい水を届ける水道
 快適で安全な暮らしを支えるため、水源水質の汚濁に対しても、安全でおいしい水を届ける水道

5 公平で効率的な水道
 平常時はもとより、事故時や渇水時にも、公平で効率的な給水が確保できる水道

6 環境に配慮した水道
 浄水処理、送配水、給水の過程での省エネルギーやエネルギーの有効利用、資源のリサイクルなど、環境に配慮した水道

7 わかりやすく親しまれる水道
 安心して暮らせる生活を実現するため、水道使用者からの情報収集と水道使用者への情報提供をより積極的に行う、わかりやすく親しまれる水道

 今後、東京水道は、これら7つのあるべき姿を実現すること、つまり、断減水がなく、渇水や地震にも『つよい水道』、また、環境に配慮し、公平で効率的に安全でおいしい水を届けることができ、わかりやすく親しまれる『やさしい水道』を構築することにより、水道使用者が必要な時に、必要な量の安全でおいしい水を供給することができる、『安心できる水道』をつくりあげていくことを基本理念とする。

4−3 今後の施設整備の基本的な考え方

 水道への期待は、新たな社会潮流にも表れているように、量から質へと確実に方向転換してきている。
 したがって、これからの水道施設は、使用者の安心をどれだけ高められるかが問われてくる。
 そこで、7つのあるべき姿を実現し、「安心できる水道」をより確かなものにするため、次の5つの基本施策を柱とした施策を展開し、より高い目標に向かってSTEPを進める。

1安定した水源の確保
2ゆとりある施設能力の確保
3公平で効率的な送配水システムの構築
4安全でおいしい水の供給
5生活に密着した水道サービス

 今後、5つの施策を推進していくに当たっては、幅広い視野と長期的視点に立ち、次のような基本的考え方に基づき、「安心できる水道」の構築を進めていく。
 水道水源については、単に水道需要に対応した水源量を確保するのではなく、給水の安全度を向上させる観点から、水源を確保することを基本とする。
 浄水施設については、水道事業が当然持っていなければならない計画一日最大配水量に対応した施設能力を持つだけではなく、更新・改造や事故にも対応できる施設能力を持ち、また、水源水質の汚濁が進行しても安全でおいしい水を供給できる施設を整備することを基本とする。
 送配水施設及び給水設備については、事故や渇水時にも公平で効率的な給水ができ、また、震災時においても、都民生活や都市活動への影響を最小限にするように施設を整備することを基本とする。
 また、都民にとって、わかりやすく安心して使用でき、環境にも配慮した水道システムを構築することを基本とする。

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